さよなら、狼さん

雑記とサドンフィクションのブログ 終りの始まりに

2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

小鳥たちはいつ消えたのか、放射性物質を自家用車で運び、でたらめな歌を歌う

小鳥たちはいつ消えたの? 炎天下の駐車場で放射性物質を処理していた時にふと思いついたことだった。 といっても私は放射性物質を扱う専門家などではない。私は単なる地方公務員だ。 ある人間がやり場に困り放射性物質を県庁の駐車場に放置し、それを誰も処…

朝、起きて、私は馬が水を飲むように水を飲んだ。そして泣いた。青春の終りに

彼女が妊娠していると聞いたのは第三者を介してだった。 彼女は同期入社だった。新人歓迎会の帰り、同じ方面のバスに乗った。 「佐藤さん、彼氏とかいるの?」私は聞いた。 「それがいないんですよ。誰かいい人がいたら紹介してくださいよ」 『誰かいい人』…

少年と少女のセックスはどこか哀しい

去年、私は性機能を失った。まず勃たなくなり、そのうち性欲そのものもわかなくなった。 友人にこれで女性と付き合うのも終わりだなというと、友人にちゃんと病院には行ったのですかと聞かれる。 私が性機能を失ったのは加齢のためだろうというと友人は加齢…

アンディ・フグが死んだとき、ピーター・アーツが

アンディ・フグが死んだとき、ピーター・アーツが病院でテレビのインタビューを受けてあいつはいい奴だったといって顔をくしゃくしゃにして泣き崩れた。 私が死んだとき誰があんな風に泣いてくれるだろう。 そう考えると私は私が生きてきた人生を痛切に後悔…

施設Kの思い出 どんな切実な思いもやがて消えてしまうけれど。

暑中見舞い 暑中お見舞い申し上げます。いつも施設KのOB会に参加してくださりありがとうございます。新しくなった施設Kはきれいだし眺めも良いけど、何か地に足が着かない気がしてしまいます。またぜひOB会にご参加ください。 永田さんへの返信 永田さん、こ…

それに気づいた狼は声をあげて泣きました

ある日、狼は気づきました。もうこれからずっと誰も自分の家に電話をかけてこないことに、 それに気づいた狼は声をあげて泣きました。